2013/05/03

エンジンストールの修理 (Engine Stall)

先日走行中にエンジンが不調になり停止しそうな状態になりました、症状的には片バンクが機能しなくなったときに似ていたのですがメーターパネルにはEMLランプの点燈は無くアクセルを踏むと少し改善したりしたので本日点検してみることにしました。

M70エンジンはご存知のようにBMWが世に出した最初のV型12気筒であり多くのシステムが2重化された贅沢なエンジンです。 しかしながら色々な物が2つあると言う事は古くなるにつれてトラブルも2倍になるのは容易に想像できます、実際25年を越える車両でこれらのパーツが完璧に同調して機能しているものは滅多にお目に掛かれません。

BMW自身がその事を想像していたかどうかはともかく、M70エンジンは多少の不具合があってもオーナーが気付かないくらい不調を補完しあいながら機能する何ともアバウトなシステムです。 調子の良い車両に乗っているオーナーならば直ぐに分かるのですが多くのオーナーが不調を知らないまま乗り続けていても壊れないのでそれはそれで有り難いエンジンと言えます。




さて、今回のトラブル原因追跡も普段なら色々確認箇所が多くて面倒なのですが、もう最近はあれこれ考える前にとりあえず車両に残っているディフェクトメモリー情報を確認するようにしています。 全ての電装システムはエラーが発生すると車両内部のコンピューター上に記録を残すようになっているので、それらを読み取れば原因を推測できます。 経験と勘に頼ってもよいのですが時間も労力も掛かりますからね・・・

まずは車両に診断機とパソコンを接続してメモリー情報を読み取ります


各バンクのDMEメモリーの読み出しをすると


シリンダ1番~6番で吸気温度センサエラー有りと出てます、他にラムダセンサも出てますがこれはストールによる燃焼不良によるものと推測されます


更に吸気温度センサの詳細情報を見てみると、現在も故障があると出てます


状況詳細を見てみます、吸気温度マイナス49度? センサが死んでるか断線してますね


診断機はリアルタイムでモニターもできるので現在の左右バンクの値を読み取ってみます



シリンダ1番~6番は右バンクですから吸気温度センサは左側、V型エンジンの場合は逆側つまり運転席側になります。 不良箇所を通知しているセンサ自体に不良が無いかそれぞれテスターで確認してみるとどちらも抵抗値は2kΩ前後あり問題はありません、これはケーブルの断線が原因と確定です。







原因さえ分かれば対処は簡単ですが、原因が分からないと色々総当りでみなければならないので大変です。 今回はケーブルの補修だけで完治しました。