2013/01/17

4HP22 バルブボディ修理 Part2 (ValveBody Repair)


症状の再発と重症化

補修作業時に十分なATFが無かった事もあり別途新油の追加補充をする事と近いうちに念入りなオーバーホールを再度依頼して下さいとオーナーさんにお願いをしておいたのですが、2週間程経過したときに問題が再発しました。


こんども作動不良のようですが前進も後退も滑っているような感じで動くとの状態で異音もするとの事です、その異音というのが気になるのですが今回はATFを18リットル缶で新たに手配し車両運転せずにローダーで運んで貰いました。


前回同様、気になるのは異音とクラッチ損傷の度合いです。 幸い今回もオイルパンを開けてみるとダストは殆どありませんでした、バルブボディによる問題だけならば良いのですがもしAT本体側に何らかの問題があれば今回の補修でも解決しない可能性があります。


前回はATFが無かったためメインチャネルの点検と洗浄はしていませんでしたが今回は適切な問題解決のためにメインチャネルも開けてみます、メインチャネルにはガスケットが必須ですが手元には交換用の新品はありませんので慎重に開示します。 


最悪ガスケットが破損したときのことを考慮して0.2mm厚のアルミ製シートは準備してあります、同じように型取りして穴を開けてガスケットを作る作戦です。 実際そんな作業になったら1日で作業は終わりませんからオーナーさんには最悪2-3日車両を預かるかも知れないと承諾を頂きました。

 今回は新たに手配をしたATFがありますから古いATFは全て廃棄します


 前回、メインチャネル以外の洗浄と新油を半分程度いれたのでバルブボディは見た目綺麗です

今回はメインチャネルを開けて完全修理をします

 ん? 変だぞ、チェックボールが無い・・・・

こちらはちゃんとありますね、念の為資料を確認すると


該当バルブボディのメインチャネルには0.218inch(5.5mm)のチェックボールがなくてはいけません、前回メインチャネルは開けていませんからどうやら劣化したプラスチック製のチェックボールが破砕して消失してしまった事が今回のトラブル主原因のようです。


AT補修部品は友人のJB1さんならお持ちですが、流石に今日今直ぐには入手不可能なのでShogunと一緒に近くのジョイフル本田(D2 Store)にベアリング球を買出しに行きました。 そんなもの売ってるのかと思われるかもしれませんが、無ければ洋裁コーナー等にあるデコレーション用金属球でも代用できる筈です。 


目的のものに近い5mmと6mmサイズのベアリング球は予想通り洋裁コーナーと工具売り場で入手できました、必要とされる指定サイズは5.5mmですが長年の使用でサイズは小さくなっている筈なので5mmでも支障は無いと判断できますし、流路空間のマージンからみてもどちらのサイズで合わせてみても問題無く作動できるようです。


プラスチック球に比べて金属球に換えると重量増になり作動慣性も増加しますので、最も適していると思われる5mmを選択してインストールしました。 チェックボールの消失と代替え金属球による解決方法についてドイツフォーラムで経験者とディスカッションしたところ金属球がチャネルプレートを通過してしまうと更に問題が大きくなる可能性があると指摘がありましたが、プレート側の穴は4mm以下でそうした問題になる事は無いだろうと判断できます。

アキュムレータ類を一度外して資料に貼り付けてメインチャネルを徹底洗浄します、幸いガスケットは大きな損傷が無かったのでそのまま再利用し全て組み付けをすればOKです。


車両を中古で購入された当初からシフトショックが大きめだったとの事でしたので、油圧モジュレータの与圧が落ちている可能性があります。 念の為与圧を1/2回転上げて調整してみました。


走行テストをすると見事に問題は解決されて更にシフトショックも極めてスムーズに回復しました。 朝にローダーで入庫して夕方には自走で元気に帰る事ができて良かったですね、一応作業場所をお借りした場所代と私が移動に必要な費用等はオーナーさんに負担して頂きました。