先日、Shogunとの合宿でステムシール交換とエンジン再調整を行ないました。
本来ならプラグが焼けた辺りでエンジンは落ち着いて安定しなければいけない筈ですが、毎朝エンジンを掛けるときにアイドル不調がでるようになり整備の前よりも調子が悪い状態です。
症状としてはエンジン始動時にハンチングが発生しエンジン回転が大きく上下します、アクセルを何度か煽ってやると落ち着いてきますが、どうもエンジンが冷えているときに顕著に症状がでるようです。
M70エンジンのアイドリング不調には多くの原因が考えられます
・燃料ポンプの不調
・燃圧レギュレータの不調
・点火系不良(デスビ、ローター、ケーブル、プラグ、イグナイタ)
・O2センサ不良
・バッテリー不良
・発電不良(オルタネータ)
・インジェクタ不良
・グラウンド不良
・パルスセンサ不良
・スロットル不良
・水温センサ不良
・DME、EML不良
・エアフロ不良(本体、コネクタケーブル)
・エア噛み(AirLeak)
しかし、殆どの原因は対処済みなので思い当たる部分がありません。
何度か朝に発生したときに試しにエアコンを切ってみるとハンチングは小さくなり症状が緩和されたので、エンジンが冷えた状態で負荷が掛かったときに発生するのは間違いなさそうです。
暫くは原因が掴めないままの運行が続いたのですが、ShogunのM3整備に行ったとき帰り支度をしているとエンジンルームから聞きなれない異音がする事に気付きました。
「チッ! チッ! チッ! チッ!」
「Tick! Tick! Tick! Tick!」
「????」
何だこの音は?
異音はエンジンルーム右前方から聞こえますが、ヘッドカバー内からなのかエアコンコンプレッサからなのか或いは他の何かからなのか正確につかめません。 例えるならばタイラップの端が回転周期に合わせて干渉しているような感じの音です、手を突っ込んであちこち触れて振動が伝わる部分を確認するとコンプレッサの遮熱板付近から伝わります、コンプレッサが死にかけてるのか?
念のためエアコンコンプレッサに繋がるベルトプーリーを緩めてベルトをフリーにして確認してみますが、まだ異音は続いています(--
Shogunがサウンドスコープを持ってきて「これで調べてみれば」と言うので、総当りで点検してみると
これだ、ここだ、ここ!
燃料タンクにチャコールキャニスターを通じてガスを戻す(FUEL TANK BREATHER VALVE)のラインが破壊されてます。
ここには左右バンクのスロットルボディからそれぞれラインがきていますが、接合部はごらんのようなプラスチック部品で分岐されています、画像に撮る前はこの片側が破損していました。 撮影のために引き出したら両側とも破損して使い物になりません。 どうしてこういうところにプラスチック部品を多用するんでしょうね?
手持ちに三分岐の6mm用メタルコネクタがありましたので、それに換えてホースも新品に交換しました。 どうやら片側バルブの送り出し側が開放状態になっていたのでバルブが常時開閉を繰り返して激しく音が発していたようです。
バルブから大きな音がしていたので念のため部品車から該当部品を取得してバルブに不良がある場合は交換することにし、まずはホースの修理をして様子をみてみます。
補修後にエンジンを掛けてみると嘘のように落ち着いてアイドリングしています、もちろん異音も無くなりました。
さて、そのバルブですが考察のため分解してみました。
これがその問題のバルブ、普通に買うと1個$150.00もします
前から?
後ろから?
バラしてみました
電磁バルブで開閉される仕組みです焼き付かない限り故障はしそうにありません
リリーフバルブも付いています
こちらはスプリングで与圧を制御しています
バルブの作動はこんな感じです
この夏にアイドル時に異常にガソリン臭い事がありましたが、恐らくそれもパイプ破損が影響していたものと思われます。 この修理をしてからアルピナエンジンの調子は経験したことが無いくらいに格段に良くなりました