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2015/01/20

BMW E28 4HP22-EHのバルブボディ修理2 ( 4HP22-EH Valvebody Repair )


さて、スプリングの破損が判明したこのバルブボディですが、通常ならば分解・洗浄・組み付けで終わるべき作業が修理もしなければいけません。 幾つかの補修部品は手持ちにありますが今回のスプリングはどうでしょうか?


丁度、先日友人がストックしてた補修部品の殆どを譲ってくれましたので一通り見てみます




残念ながら適合サイズのスプリング部品はありませんでした、油圧調整用のオリフィスは各種サイズのストックがあるのですがね








さすがに、このままスプリングを入れずに置くとなると動作に不安があります。 2重スプリングのインナー側なので大したテンションは掛かりませんし、破砕した部品は全て除去したので分解前のようにシリンダがスタックするような事態は起きないと思いますが、横で作業を見学していたオーナーさんは流石にそれは納得できないでしょう(笑)


手持ちに4HP22の機械式タイプの予備バルブボディがありますので今回はそちらのチャネルから適合部品を移植します。 4HP22と4HP22EHはサブチャネルが良く似ていますが実際には分解してみるとシリンダ構造が異なりチャネルごとの移植はできません、一部のシリンダに使用しているスプリングが同じ仕様でしたのでそれを使いました。




本当なら新品部品にしたいところですが、そこは大目に見て頂きました。 作業後のテスト走行ではオーナーさんが作動状況に大変満足されたようで、あれだけの作業で劇変するフィーリングにしきりに関心しておられました。  元のオイルやオイルパンの状況は良いので今後は定期的なATF交換だけで暫くは大丈夫でしょう。


2015/01/19

BMW E28 4HP22-EHのバルブボディ修理1 ( 4HP22-EH Valvebody Repair )

皆さん、お久しぶりの更新でご無沙汰しております。  このところ忙しくしており、作業はいつものように色々とこなしているのですがブログに上げる時間も無いので暫く記事が空いています。  書くべき内容は沢山ありますので、暇を見ながら上げていく予定です。


さて今回はE28オーナーさんからのご相談です。 お乗りの車両でシフトショックが全体的に酷くなっておりご心配をされて改善可能かとの問合せがありました、以前に同型の車両にお乗りのオーナーさんに施工をして1年近く経過しており良い機会ですので気になる症状や施工の効果そして1年程経過した状況での現状等を直接オーナーさん同士で情報交換をして頂きました。





施工する側として説明してもオーナーさんが十分理解できるかは難しいところですし、同じオーナーさん目線でより具体的な部分を理解して貰えれば施工するかどうかの判断もしやすいというわけです。  ご相談されて納得できたようで後日に正式な作業依頼をお受けしました。


E28には年式によってATも完全な機械式とソレノイド駆動による電子式があります、今回の車両は電子式のタイプでシフトパネルにもSモード等のスイッチがありシフトリンク以外に信号用のコネクタも繋がっています。 形式的には4HP24に近いといえます


車両を入手されてから年数は経っておらずATFの交換履歴やATの整備記録は不明との事です、走行距離は20万キロを超えていますのでAT整備はこの機会を逃すと載せ替えといった選択支しか無くなる可能性があります。  ATFやオイルパンの状態は非常に良く、オーナーさんが言われるシフトショックの原因と思われるような大量のスラッジも確認できません。


バルブボディを降ろして分解整備を進めていくと今回の原因が判明、サブチャネルシリンダにあるダブルスプリングの一つが完全に破壊されています。  一部のシリンダには太めと細めの2重にスプリングが実装されているところがありますが、内側にある細めのスプリングが金属疲労を起こして破断したようです。





スプリングを取り出そうとしたときに内側のスプリング頭が異常な位置にある事が確認できたので、慎重にとりだしてみたら中でバラバラになって絡まっていました。 恐らく最初は一箇所だけの破断だったのでしょうが、壊れたスプリングが折り重なりどんどん被害を広げたのでしょう。  


破砕した部品がシリンダに絡まったり、更にメインの太いスプリングを破壊するようなことになっていたら確実に油圧動作不良を起こしてこのATは死亡していたと推測されます。 幸い太い方のスプリングがまだ生きていたのでギリギリ助かったようですが、正に紙一重の状態だったと言えますね。