2014/10/13

E30-325 ツーリングのAT修理 (E30-325 Touring Valvebody Repair)





実はこのE30は以前にATの不調で入庫頂いた車両です。  前回の入庫時には既にAクラッチがダメージを受けて完全なスリップ状態であったためバルブボディのオーバーホールでは残念ながら修復に至りませんでした。  クラッチの交換をすると修理費用がどうしても高額になるので、オーナーさんの判断で修理は諦めて中古のATを地方の業者から入手して載せ換え修理をされたとの話しをうかがっていました。


最近になって、またその載せ換えをした中古のATが不調になり走行不能に陥ったと連絡がありました。  入手したATは近くの輸入車専門店で載せ換えをされたようですが、その際にバルブボディのオーバーホール等はしなかったそうです、リビルド品と違って中古品の場合は例外無くATの状態は良いとは言えません。  本来なら中古に入れ替える時点で少なくともバルブボディのオーバーホールは行うべきだというケースに該当してしまったようです。


ご相談頂いた段階で車両は前進後退共に駆動が緩やかにしか掛からない状況にあるとの説明でした。  前回、Aクラッチが損傷したときは前進の1速に酷い滑りがあり、2速以降は比較的安定した走行ができる症状が特徴的です。  これは各シフト動作時に1速はAクラッチのみ、2速以降はAクラッチ+他のクラッチで駆動するために見られる症状です、そしてAクラッチを使用しないR動作は何も問題が発生しないので問題の切り分けがしやすい挙動になります。


さて、今回は前進後退共に緩やかな駆動しか掛からないという症状についてですが、これは一番疑われるのは前進後退の油圧切り替えを受け持つメインチャネルのチェックボールが破砕したりチャネルを通過していまって機能しない場合に多く見られる症状です。 それ以外にもソレノイドの油圧量制御不良やクラッチのダメージやシリンダのスタック等も疑われますが主にバルブボディに起因する問題とみて間違いはないと思われます。


前回、中古のATに載せ換えをした際に破損した古いATを廃棄処分するので必要なら送付しますとの申し出を頂きましたので、こちらも他の車両トラブル時に部品取りとして使える可能性があるので引き取りをさせて貰っていたのですが今回はそれが幸いしてお役に立つことになりました。


引き取ったATからバルブボディを降ろしてオーバーホールして交換用に準備したものを現地のショップにて出張交換修理の作業をさせて頂きました。 バルブボディ本体は元々オーナー様のものなので今回はオーバーホール費用と出張作業費用だけご用意頂いて修理を完了致しました。


予想通り、無事に問題は解決して路上復帰できました。  ATFの汚れが結構酷かったようですのでシフトショックの調整を合わせて近いうちにもう一度適切なATFグレードへの交換をお勧めします、とりあえずバルブボディに起因する問題は今後大丈夫でしょう・・・・