パワステギアボックスの修理は何度かしているのですが、この友人の車両はオイル漏れが治まらず今回が3度目の修理です。
たかがオイル漏れの修理と言ってもV12は本当に作業が面倒です、一旦リザーバーにあるオイルを全て抜いてからステアリングギアボックスに繋がる高圧・低圧のラインを切り離し、取り出すスペースを確保するためにドラッグリンクを外して、更にステアリングコラムとアイドラーアームを外し、ステアリングギアボックス本体を固定している2本のボルトナットを外してようやく取り出しできる体制になります。
作業を繰り返すうちにアイドラーアームを事前に分離する事が本体の取り出しやインストール作業が楽になる事は学習したのですが、それでも本体の出し入れには毎回苦労します。 微妙な位置関係でエグゾーストパイプが邪魔をするので最後は力技になります。
オイルラインを切り離したり本体を出し入れする際にどうしてもオイルが落下するのでピット内は新聞紙などでいつも養生して作業します
取り出したステアリングギアボックスです、以前シール類は交換してあり今回のオイル漏れは本体高圧制御部とギア駆動部を繋ぐハウジングプレートの前後からとの事です
2回目の修理をしたときには使用したOリングが不適切だったようで一部が破損していましたが今回は特に問題は見られません、そこでユニットのOリング接合面を丁寧に確認していきます
ハウジング内で一段高くなっている部分の手前にOリングが密着します
ん? 何だこれは?
角度を変えて見て見ると
もうちょっと拡大してみましょう
あまり宜しくありませんね、Oリングの接触面に指で触って分かる程のキズがあります。 しかも縦方向なのでOリングのオイル漏れの原因の一つになっているかも知れません。 と言う訳で、躊躇せずにペーパーで慣らします(笑)
ユニット上部の蓋周辺からもオイル滲みがあるとのことなので、こちらも本体側の接合面を見てみます
これらの面は機械加工仕上げをしたままの状態ですが、フライスの歯当たり方向とOリングの密着方向がクロス気味になると油圧が掛からない部分でも漏れてくる可能性があるのではと推測します。 と言う事でこの面もダブルアクションサンダーを使って面仕上げをしました。
同じユニットの3回目の修理と言う事もあり、今回は徹底した漏れ修理を目指します。 Oリング接合面にはシリコンベースのオイル漏れ防止ペーストを塗布して接着仕上げです
作業中に誤ってベアリング球を脱落してしまいましたが、シャフトを最奥又は最手前にして片側方向にベアリング球を補給していけば簡単に戻すことができます。
この車両の修理は9時半に始めてお昼には終わりましたので、気分を良くしてもう一台のステアリングギアボックス修理をしたのですが、そちらは色々と問題が多発して結局夕方遅くまで掛かってしまいました。
その後、友人からの報告でこの車両のステアリングギアボックスのオイル漏れは収まったそうです、良かった。